RH NOTE

eモータースポーツ×ブレインテック実証を実施

2022.03.24 16:52(7か月前) NEWSRELEACEINNOVATIONRH-NOTENEWS

~ドライビングテクニックが脳科学とITで向上、未来のプロレーサー育成に寄与~

KDDI株式会社
株式会社アイロック
VIE STYLE株式会社
合同会社レーシングヒーロー
2022年3月24日

KDDI株式会社 (本社: 東京都千代田区、代表取締役社長: 高橋 誠、以下 KDDI)、株式会社アイロック (本社: 愛知県名古屋市、代表取締役: 古賀 琢麻、以下 IROC)、VIE STYLE株式会社 (所在地: 神奈川県鎌倉市、代表取締役: 今村 泰彦、以下 VIE STYLE)、合同会社レーシングヒーロー (本社: 東京都墨田区、代表社員: 紀平 啓佑、以下 レーシングヒーロー) は、脳科学とIT技術を組み合わせたブレインテックを活用し、脳の認知能力を高めることでeモータースポーツのドライビングテクニックの向上を目指す実証実験 (以下 本実証) を2021年12月14日から2022年3月11日まで実施しました。

 

本実証には、eモータースポーツ (該当項目へジャンプします注1) で活躍する宮園 拓真選手や佐々木 唯人選手など8名が被験者として参加しました。被験者のうち、脳の認知能力を高めるトレーニングを受けた2名について、シミュレーターでの筑波サーキット走行時のベストラップを比較し、ドライビングテクニックの向上について確認しました。

 

今後4社は、実車での走行テストなどを行い、将来的にeモータースポーツのプレイヤーがプロレーサーを目指すことができる環境の整備や技術開発を進めていきます。

 

e-Motorsports x Brain Tech

■背景・課題
プロスポーツでは、ゲームを活用したトレーニングが増えています。特にモータースポーツは、ステアリングやペダル操作が同一のため、シミュレーターの親和性が高い一方、実車は加速度 (G) などの違いがあり、実車のドライビングテクニックの向上に結び付かない可能性も指摘されています。
脳科学研究の進展により、プロスポーツ選手のスキルと脳の認知機能の関連性が明らかになってきています。モータースポーツにおいても、レーサーが一般人と比べ反応速度が早いという結果が報告 (該当項目へジャンプします注2) されています。リアルタイムに選手の脳波を可視化し目的の脳活動に近づける「ニューロフィードバック」の活用で、脳の反応速度向上につながるトレーニング技術の研究も進み、将来的には多くのeモータースポーツのプレイヤーが実車のレーサーとして活躍できる可能性が広がっています。

 

 

e-Motorsportsプレイヤーがレーサーとして活躍できる未来

 

■本実証の概要
本実証は、ブレインテックのトレーニングによる、シミュレーター上でのドライビングテクニックの向上を目的としています。実車のレースやeモータースポーツで活躍する4選手を基準に、多様な脳の評価・比較を行い、トレーニング対象となる脳の認知能力 (脳スキル) を特定しました。
その後、トレーニングを実施する2選手 (トレーニー2選手) に対し、例えば認知テストにおける脳の反応時間の短縮やポジティブな感情戦略をとるなど、伸びしろが大きいと想定される脳スキルを高めるため、ニューロフィードバックを利用したトレーニングを実施しました。
トレーニング前後に、シミュレーターで筑波サーキットを5周走行した際のベストタイムを比較しました。結果、トレーニングを受けた2選手は、トレーニングを受けていない6選手 (コントロール6選手) と比較してベストタイムを約0.6秒短縮できました。

 

 

 

本実証の詳細は別紙をご参照ください。

 

<別紙>

 

■本実証について

 

1. 目的
脳の認知機能に着目した新しいドライビングスキルのトレーニング方法の開発を目的としています。

 

2. 参加者
(1) ベンチマーク選手 (基準となる認知能力の分析対象選手)

リアルレーサー 平良 響選手

2022年全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権
Kuoモビリティ中京 TOM’S320 38号車ドライバー

 

eモータースポーツ出身リアルレーサー 冨林 勇佑選手

グランツーリスモ トッププレイヤー/レーシングドライバー
FIAグランツーリスモチャンピオンシップ2016 マニュファクチャラーシリーズ チャンピオン
スーパー耐久シリーズ 2020/2021 ST-3クラス シリーズチャンピオン

 

GOODRIDE MOTORSPORTS所属ドライバー 山中 真生選手

Formula Drift Japan 2 チャンピオン

 

eモータースポーツ 山中 智瑛選手

グランツーリスモ トッププレイヤー
FIAグランツーリスモチャンピオンシップ2019/2021 マニュファクチャラーシリーズ ワールドチャンピオン
TOYOTA GAZOO Racing GT CUP2021 シリーズチャンピオン
全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2019 IBARAKI/2020 KAGOSHIMA 一般の部 優勝
AUTOBACS JEGT GRAND PRIX 2021Series Team BATTLE 優勝
AUTOBACS JEGT GRAND PRIX 2021Series INDIVIDUAL MATCH GRAND FINAL 優勝

 

(2) 本実証への参加

 

トレーニー (トレーニング実施) 宮園 拓真選手

グランツーリスモ トッププレイヤー
FIAグランツーリスモチャンピオンシップ2020 ネイションズカップ ワールドチャンピオン
FIAグランツーリスモチャンピオンシップ2020 マニュファクチャラーシリーズ ワールドチャンピオン
TOYOTA GAZOO Racing GT CUP2020 シリーズチャンピオン
全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2021 一般の部 MIE 一般の部 優勝
AUTOBACS JEGT GRAND PRIX 2021Series Team BATTLE 優勝
AUTOBACS JEGT GRAND PRIX 2020Series INDIVIDUAL MATCH GRAND FINAL 優勝

 

佐々木 唯人選手

グランツーリスモ トッププレイヤー
全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2019 IBARAKI 少年の部 3位
AUTOBACS JEGT GRAND PRIX 2020Series Team BATTLE 優勝
コントロール 菅原 達也選手 グランツーリスモ トッププレイヤー
Porsche Esports Racing Japan 優勝
Roots Ambitious Cup 優勝
AUTOBACS JEGT GRAND PRIX 2020 Series Round Final INDIVIDUAL MATCH 2位
Porsche Gran Turismo Cup Asia Pacific 優勝

 

菅原 幹選手

DIRT RALLY 2.0 トッププレイヤー
RT93 e-sport所属
ESPORTS WRC 2022 Round3 21位

 

浅賀 颯太選手

iRacing トッププレイヤー
iRacing Official Series『ADVANCED MAZDA MX-5 SERIES』2022 SEASON1 ワールドチャンピオン

 

山中 智瑛選手

同上。コントロール選手としても参加。

 

山中 真生選手

 

匿名 iRacing トッププレイヤー

 

3. 実証方法
多様な認知能力の評価を行うテストをベンチマーク選手に行い、その結果に基づいてトレーニング対象とするスキルを特定しました。その後、トレーニー2選手に対しては、ニューロフィードバックも利用した認知能力のトレーニングを実施しました。

ニューロフィードバックの仕組み

 

4. 評価方法
IROCのドライビングシミュレーター「T3R Simulator」とレーシングシミュレーターゲーム「iRacing」で、筑波サーキットを5周したベストタイムをトレーニング前後で比較しました。

「iRacing」でMAZDA Roadster (MX-5) を使用

 

 

5. トレーニング内容
ウェアラブル脳波計「VIE ZONE」を利用したニューロフィードバックトレーニング (α抑制) に加え、ストループ課題 (佐々木選手) とポジティブ感情制御ニューロフィードバックトレーニング (宮園選手) を週1回、4週間にわたって実施しました。

 

 

6. 検証結果

【結果1】認知課題成績の変化の確認 (GoNoGo課題の反応時間 (左) とストループ効果 (右))

トレーニングにより、特に佐々木選手の反応時間の短縮とストループ効果 (色名と色が一致していない際に反応時間が遅くなってしまう現象) の減弱に成功しました。

GoNoGo RT (交互作用 F (1,6) =1.3417 p=0.29075)

StroopEffect (Incong/Cong) (交互作用 F (1,6) =1.8782 p=0.2196)

 

【結果2】レース成績の向上 (「iRacing」のラップタイム短縮)

トレーニング2選手は、筑波サーキットのラップタイムを65.496秒から64.886秒に0.61秒短縮することに成功しました。(トレーニングを受けていないコントロール選手は、65.040秒から65.154秒+0.114秒、交互作用 F (1,6) =15.5402 p=0.007)

LAP TIME (交互作用 F (1,6) =15.5402 p=0.0076062)

 

 

7. 体制

本実証では、プロレーサーのトレーニングから市販車のバーチャル試乗、交通安全啓蒙などあらゆるシーンで活用の実績があるIROCの「T3R Simulator」を採用しました。また、現役プロレーサーでもあるIROCの古賀代表から、リアルでの運転とドライビングシミュレーターの違いの技術的なアドバイスを受けました。本実証参加者となる8名のeモータースポーツ選手のトータルマネージメントを、eモータースポーツの番組作成やイベント企画を実施するレーシングヒーローが行いました。本実証では、株式会社トムス、日本グッドイヤー株式会社が協力しています。今後、ドライバー育成に関する知見の共有や、実車でのトレーニングにも取り組んでいきます。

 

KDDI

> プロジェクト全体マネージメント 全体企画設計、各パートナーアレンジ・マネージメント、ビジネスモデル設計

 

アイロック

> レーシングシミュレーター「T3R Simulator」の活用 シミュレーター活用のサポート、仮設の設定やリアルドライバー視点での課題提起などトータルアドバイザー

 

VIE STYLE

> 脳波分析 脳波を測定し、ニューロフィードバックを経て脳のトレーニングプログラムを開発・実行

 

レーシングヒーロー

> eモータースポーツ選手のマネージメント e-Motorsports関連ディレクション等コンサル業務
e-Motorsports選手のアレンジ、ベンチマーク設定など

 

TOMS

> ドライビングシミュレーター、実車トレーニングのサポート トムス社製シミュレーターの活用
「フォーミュラカレッジ」でデジタルトレーニング実施後の実車トレーニング (実施予定)
日本グッドイヤー株式会社 実車トレーニング時の車両提供など 実車トレーニングのための車両提供、ヤリスカップカーでの走行機会の提供

 

インテル株式会社

> PC (CPU) の提供 脳波分析や選手のニューロフィードバックで使用するPCの構成検討・機材提供 (予定)

 

 

(参考)
■実証方法 (詳細)
(1) 認知機能の特定のためのテスト

認知/注意制御系

[1] ストループテスト 意味と色の干渉下で「色」を答える (抑制と特定の対象への注意制御) 課題
[2] GoNoGo 二つの円が提示され「黄色と赤」の刺激のみボタンを押してはいけない課題
[3] マルチオブジェクトトラッキング 12個のドットのうち指示された3個を12秒間追跡する課題

 

感情制御系

[4] アスリート向けの感情制御の尺度 Emotion Regulation Questionnaire (該当項目へジャンプします注3)、emotion regulation strategies (該当項目へジャンプします注4)
感覚運動系

[5] 感覚運動適応タスク アクセル・ブレーキ特性の異なる新しい車両に順応する能力を計測する課題
[6] Sensory Motor TaskにおけるSpeed-Accuracy Optimization オブジェクトを操作し周回路を1周する課題
[7] 自身運動情報 (速度) の知覚能力 自身の過去の速度を弁別する課題
空間認知系

[8] 空間把握 (記憶・自己位置) タスク 空間記憶課題

 

(2) 個人の認知能力の評価

本実証で、トレーニー2選手 (宮園選手、佐々木選手) と、ベンチマーク選手を比較した際に、相対的に伸びしろがある認知機能は以下の通りとなりました。

宮園選手 GoNoGo課題における反応時間、ポジティブな感情戦略
佐々木選手 GoNoGo課題における反応時間、ストループテストのストループ効果
(3) トレーニング方法の開発と実践 (週1回4週間実施)

[1] ニューロフィードバックによるα抑制トレーニング GoNoGo課題の成績を高めることが報告されている (該当項目へジャンプします注5) α波 (8-13Hzの脳波成分) の抑制トレーニング
[2] ポジティブ感情ニューロフィードバックトレーニング (宮園選手のみ) ポジティブ/ネガティブなエピソードを繰り返し想起し、その際の脳波データを基に脳情報解読器 (デコーダー) を学習させ、それを利用して本人がポジティブなことを想起している脳の状態を自ら作り出せるようにトレーニング
[3] 課題の実施によるトレーニング (宮園選手: GoNoGo 佐々木選手: GoNoGo+ストループ) 測定課題を実施

 

注1)
eモータースポーツ: カーレースを題材としたゲームの大会
注2)
出典: Baur, H., Müller, S., Hirschmüller, A., Huber, G., & Mayer, F. (2006). Reactivity, stability, and strength performance capacity in motor sports. British journal of sports medicine, 40 (11), 906-911.
注3)
出典: Uphill, M. A., Lane, A. M., & Jones, M. V. (2012). Emotion Regulation Questionnaire for use with athletes. Psychology of Sport and Exercise, 13 (6), 761-770.
注4)
出典: Lane, A. M., Beedie, C. J., Devonport, T. J., & Stanley, D. M. (2011). Instrumental emotion regulation in sport: relationships between beliefs about emotion and emotion regulation strategies used by athletes. Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports, 21 (6), e445-e451.
注5)
出典: Deiber, M. P., Ammann, C., Hasler, R., Colin, J., Perroud, N., & Ros, T. (2021). Electrophysiological correlates of improved executive function following EEG neurofeedback in adult attention deficit hyperactivity disorder. Clinical Neurophysiology, 132 (8), 1937-1946.

 

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